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2006年02月18日(土)

マツミの精神

見習い大工である林の現場の木工事が昨日終わった。
現場監督である篠田が「ご苦労さん会」を提案してきた。
そこで今夜若手の監督2人、見習い監督2人を加えて焼肉屋のテーブルを囲んだ。
私は林に尋ねた。
「親方の厳しさに少しは慣れたかな?」
「はい。自分から望んで弟子にしていただいたのですから、指導していただけることはありがたいです」
林は現場監督をしていたのだが27才で一念発起し弟子入りした。
マツミで働く見習い大工としては一番の年長だ。
だから、最も厳しいことで定評がある高橋浩二親方につくことを願い出た。
篠田が言った。
「親方は、面と向かっては林さんを褒めたことがないだろうけど、陰ではよくやっていると褒めているよ」と。
「親方の現場は、いつ行ってもきれいだね」
すかさず篠田が、
「そうなんですよ。“養生シートが光って見えるようでなければ掃除したことにならない”というのが親方の口癖です」と説明した。
「養生シートの上にモップを掛ける大工さんは他にはいませんよね」監督見習いの加藤が感心して言った。
「石膏ボードの粉を徹底して掃除させられます」
林が言った後を篠田が引き継いだ。
「そういえば親方は、石膏ボードの貼り具合に徹底してこだわりますね。
あんばいがちょっとでも悪いと、何回でも貼り直させてます」
「そうです。目先の費用はかかるけど、そうした方が結果的に会社の利益になると言うのです」
そこで伊藤監督が言った。
「こだわるといえば、私が担当しているお客様です。
お引渡しをしてから1ヶ月が過ぎたのですが、まだエクステリアが完成しません。
アプローチの一部に敷く石のデザインが決まらないからです。
でも、私は辛抱強くお付き合いしています。
せっかく“いい家”をお造りしたのですから、最後の石の一枚にも納得していただきたいからです」
私は尋ねた。
「でも、辞めたK部長だとそんなことをしていたら採算が取れなくなると叱っていたのではないかな?」
篠田が答えた。
「Kさんは、たしかに採算の取り方、段取りや収まり、工程管理などにはキャリアを発揮してくれました。しかし、マツミの精神という基本的なところで私や伊藤さんとはずれがありました」
伊藤もうなづいて「その点で、私たちのことを使いづらいと思っていたようです」と言った。
私は、工事部長が辞めたことを気にしていたのだが、彼のキャリアがマツミの精神とずれがあったという説明に安心させられた。
そして煙の向こうに頼もしい人達の顔を見ながら焼肉をたらふく食べた。

カテゴリー: 投稿者 :松井


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