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2006年03月03日(金)
日本一の体感ハウス
都内に出る用事があって体感ハウスにタクシーを呼んだ。
約束の時間に遅れそうなので気があせっていた。
予想した時間を10分も過ぎている。
タクシー会社に催促すると、「今運転士から連絡があって、近くで迷っているそうです」と言う。
その時、50メートル先の十字路をタクシーがスピードを上げて横切った。
「あれだ!私は十字路に立ちますから、久保田さんは反対側に回ってください」
二人は駆け出した。
「来ましたよ〜!」
久保田さんの叫び声が聞こえてきた。
「すみません。私はまだ入社したばかりなものですから」と運転士はすまなそうに言った。
「いや、仕方がないですよ。お客様が案内図を見ながら来てもほとんどの人が迷子になるのですからね」と、私は慰めた。
すかさず久保田さんが同意して、
「私は最初来たときに、なんて辺鄙なところにあるのだろうかと感心しました。
そう思われるお客様は多いのではないでしょうか?」
「そうそう、こんなことがありました。
杉並の一等地に建てる予定のお客様が訪ねてこられたのですが、道に迷われてしまい約束の時間をだいぶ過ぎても到着できませんでした。
社員が携帯電話で連絡を取り合いながら探しに出たのですが、お互いに焦ってしまって、15分間ほど鬼ごっこのようになってしまったのです」
「15分は長いですね」
運転士が口を挟んだ。
「そのとおりです。お客様はさぞかしうんざりしたのでしょうね。
“また来ます”と言って去って行ってしまわれた」
「そうなったら、私もきっと諦めますよ。でもそれは残念でしたでしょう」と久保田さんが同情してくれた。
「ええ、ええ、お互いに後味が悪かったですよ。
ところで運転士さん。
さっき十字路をすごいスピードで走っていったけど、あそこは危ないところでね、よく事故が起きるのですよ。隣の大学生は、買ったばかりの新車で出かけようとして、あの十字路で出会い頭に衝突し、一瞬にして廃車にしてしまったそうですから」
「松井さん、もうそろそろもっと安全で分り易いところに建て替えられたらどうですか?」
久保田さんがそう言うと、50年配の運転士がつられるように言った。
「そうですねー。あの場所は本当に分りにくいですから」
開き直って、体感ハウスとしては日本一辺鄙なところにあることを自慢してきたのだが、お客様が事故に遭わない内に建て替えるべきなのかもしれないと思った。
カテゴリー: 投稿者 :松井









