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2006年06月06日(火)

ヨーロッパ退屈日記

EPSON002.jpg
      (表紙の絵は、伊丹さんが描かれたもの)
ベッドの横の棚に睡眠薬代わりに読む本が並べてある。
その中にずっと加わっているのが故人である伊丹十三さんが書かれた「ヨーロッパ退屈日記」(文春文庫)。
「退屈日記」というタイトルとは正反対で、内容はユニークな感性と観察眼にあふれている。
伊丹さんが、あの巻き舌でボソボソと語りかけてくる。
「日本のモルタルの小住宅の二階の窓、なんていうのは、一つの醜いものの典型でしょう。形式的な美しさなんて少しもない。そもそも外観なんかどうでもいいのではなかろうか。家の外側というのは、つまり部屋の裏側であるに過ぎない。だから中にあって具合の悪いものは全部外にくっつければよいという考えなのでしょう。」
「いえいえ、伊丹さん、マツミの家は違いますよ」と、私は答える。
そしてこんなことを尋ねてみたくなった。
「ねえ、伊丹さん。 
ヨーロッパの建物は、外装の美を競い合っていますよね。
しかし、パリのポンピドーセンター、ロンドンのロイズ保険会社のビルは違います。
伊丹さん流に言うなら、ビルの外側は、建物の内側に過ぎないかのように見えますね。
つまり、配水管や空調のダクトといった臓物が外装となっているからです。
いずれも、イギリスの大建築家であるリチャード・ロジャース卿の代表作ですが、私には何回見ても醜くて好きになれません。
伊丹さんは、いかがですか?」

カテゴリー: 投稿者 :松井


 
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