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2006年09月21日(木)
森光子さんの「放浪記」
見終わって、帰りはMさんと一緒だった。
「私は、初演を見たのですよ。1961年のことですから、今から45年前・・・」
Mさんは懐かしげに言われた。
「その年は、私がちょうど大学を卒業した年です」
「すごいことですね。45年続いた今夜、帝劇が満席で、みなさんがセリフの一語も聞き漏らすまいと、しわぶきひとつなく静まりかえっていましたね」
「その通りでした。森さんの、一挙手一投足に魅入ってしまって、ちょっとしたしぐさにも共感を覚え、涙があふれて困りました」
最後に、森さんがたった一人で満席の客と対座した。
深いお辞儀の後で、顔を正面に向け、しばし動かなかった。
やがてゆっくりと右の手のひらが持ち上げられ、替わって左の手のひらが。
かって、あれほどまでにシンプルに、感謝と祈りを演じた精神芸を見たことがない。
間違いなく、森さんはお客様の幸せを祈っておられた。
その気迫に感動し、圧倒された。
住む人の幸せを願う私の家造りなど、まだまだ洟垂れ小僧の領域だ。
そう反省しつつも、昨夜、私は至福のひとときを過ごした。
カテゴリー: 投稿者 :松井









