<< オー・サプライズ! | メイン | 吉建ホームさん >>

2006年11月18日(土)

省エネ

IMG_8273.jpg
マイクさんが、壁に掛けられている写真に目を止めた。
「これは?」
「この位置から壁の中を撮影したものです。もちろん、工事中なのですが。イギリスでは見られない構造でしょう。斜め45度に張った板が大地震のときにこの家を支えてくれるのです」
「私の家は、100年以上前に建ったレンガ造りですが、木造は美しいですね。こんな高性能な家に住んでみたくなりました」
マイクさんが感心して言うと、荒川さんが、
「1666年の大火があってから、ロンドンでは木造建築は一切禁止になりましたからね。ロンドンの私の家もレンガ造りですが、このように暖かくないです。たしかにこの家は性能が優れていますね」
すると、マイクさんがこんな話をした。
「イギリスでは来年の4月から省エネが一段と厳しく求められるようになります。
家を売買する時は、省エネ判定士の判定書を付けることになるのです。その内容が優れたものであれば高く売れるわけです。判定は義務ではないようですが、判定書がないと買い手が不安になりますから、みんな付けざるを得なくなると思います」
「それはまた思い切った法律ですね。そうなると、断熱の方法と暖房の仕方がクローズアップされるのでしょうね。クレダにとっては追い風ですね」
予想に反して、マイクさんの表情が曇った。
「それが逆なのです。イギリスでは電力を天然ガスに頼っていますから、いずれその供給は先細りになるという想定で、家庭の暖房はなるべく電気を使わないものにすべきだと、政府が考え始めているのです」
「ではどんなものがいいのですか?」
「自然エネルギーです。太陽熱温水を利用する暖房などです」
「マイクさん、このように性能の良い家を造れば、クレダの方が安上がりではありませんか?」
「ええ、そのとおりですよ」
 
実は、わが国にも「自立循環型住宅」という提案が始まっていて、そこでの考え方がよく似たものなのだ。いわゆる「ゼロエネルギー」を理想としている。
自然エネルギー利用のイニシャルコストは、国民が負担するのだから採算は二の次でよい。京都議定書の国際約束を果たすためには、国民には応分の負担を覚悟してもらわなければならない。極端に言い換えれば、「それが嫌なら蝋燭を灯し、炭火で暖を採ってもらいたい」となろう。
そこで、マイクさんの会社では政府の方針に沿ったクレダを発売するという。過剰暖房にならないようにスイッチ操作ができるようにし、冷えてしまったら温風暖房に切り替えられるように工夫されている。
カタログで説明を受けて私は率直に感想を言った。
「それは売れないでしょうね」と。
するとマイクさんは両手を広げ、首を少し傾け、ユーモラスな表情で、
「たしかに。わたくしも同感です」と言った。

カテゴリー: 投稿者 :松井


 
PAGE TOP