<< 「身体にいい家、悪い家」 | メイン | コタツの中のベートーヴェン >>

2006年12月26日(火)

錯覚

IMG_9618.jpg
水不足でしおれる花の姿は見たくない。
「さぞかし水が欲しかったのだろう」と思うと不憫でならなくなる。
玄関の前に置いてあるピンクのシクラメンが首を垂れているのを見て、「ごめんね」と詫びつつ水を与えた。
周りの鉢物にも、まんべんなく水をやってから玄関に入った。
そのとき気づいたのだが、歳暮の品物の裏に写真のポトスがあった。
「なんでこんなところに?さぞかし水が欲しいことだろう」
そう思って、受け皿にのった鉢をキッチンの流しに運び水を与えた。

書斎で仕事をしているところへ女房が帰ってきた。しばらくして台所で大声がした。
「ウワーッ!誰なの、これに水をやったのは?」
行ってみると、ポトスを片手に女房が立っていた。
「私に決まっているじゃないか。玄関の外のシクラメンがしおれていたから、全部の鉢に水をやっておいたんだよ」
私は年末で多忙を極めている彼女の役に立てたと確信していたので感謝の言葉を待った。
ところが、彼女の様子は違っており、非難がたっぷりと込められた視線が床に移った。そこにはかなりの量の水が散っていた。
「これは、いただきものの造花なのよ!」
「エッ?造花?・・・受け皿がついているから本物と錯覚してしまった・・・」
しばし沈黙が生じた。
「いや、すまん」
私はあわてて床を拭いた。ご主人の四つんばいの格好を見て、愛犬ななが喜んだこと、喜んだこと。

カテゴリー: 投稿者 :松井


 
PAGE TOP