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2008年06月27日(金)
木の実ナナさんに思う
週刊文春(6月26日号)「阿川佐和子のこの人に会いたい」第734回のゲストは木の実ナナさん。
ナナさんは、キャバレーで前座をしていた時代がある。
たしか私が二十代前半で、不動産会社の営業マンをしていた頃だった。ある縁で、赤坂のキャバレーにつき合わされたことがあった。酒は飲めないし、会話にも加わるのが苦手だったのでショーが始まってホッとした。
前座のショーは、ほとんどの客が見向きもしない。
しかし私の目は、木の実ナナの歌と踊りに釘付けとなった。ホステスさんに頼んで、空いている一番前の席に座らせてもらった。
私以外には誰も見ていない感じなのに、彼女は精魂込めて歌い、踊った。今は誰も関心を示さなくても、今夜のこのステージが自分をいつかスターの座に導くのだと確信しているかのようだった。
「この人は、伸びる!」
その直感に鳥肌が立ったのを、今でもはっきりと思い出す。
その後、劇団四季のミュージカル「アプローズ」のオーディションに合格。一幕も二幕も一場ずつしか出番がないのに、主演の越路吹雪が顔負けするほどの拍手を浴びていた。そして、細川俊之との共演「ショーガール」で不動のエンターテイナーとなった。
対談の一部である。
<阿川> 両膝を骨折しながらやったこともあったんですって?>
<木の実> そう。四十六歳のときだったかな。もっと挑発的に踊りたいと思って稽古していたら膝が痛くなって、湿布や鍼やマッサージをしてもよくならなくて・・・。ありとあらゆる痛み止めを飲んで東京公演を演りきった後、五日間入院して点滴を受けたんです。よし、次の大阪公演がんばるぞ、って飛行機に乗って、関西空港についたら座席から立てなくなってた。
<阿川> エエーッ!?
<木の実> しょうがないから車椅子をお借りして。で、紹介していただいた病院でレントゲン撮ったら、「あ、これ疲労骨折です。舞台は無理ですね」って。でも「お客様が待ってますから、演らなきゃダメなんです」って言うと、それから毎日その病院の先生が付き添ってくれて、開演一時間前、三十分前、十五分前、五分前と、膝とお尻のちょうど尻尾が生えるところに麻酔注射を打って、演じきったんです。
いくつになっても、「この人は伸びる!」、そう予感させる人間でありたいものだ。
カテゴリー: 投稿者 :松井









