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2008年07月17日(木)
お見舞い
ある方が手術をしたのでお見舞いに行った。
ドアをノックして部屋に入ると、想像では苦痛に歪んだ顔をしているはずの人が照明を消してテレビを見ていた。
画面には、「野茂英雄 現役引退」とあった。
私はテレビに釘付けとなった。トルネード旋風を巻き起こしたドジャース時代の野茂の英姿は、何回見ても感動する。ダルビッシュや田中なんぞは比較にもならない。
「ついに引退か!」と感慨を催したその瞬間に番組が切り替わってしまった。
その方が、音量を上げようとしてリモコン操作を間違えたのだ。
私が代わって元に戻そうとしたが、部屋が暗いので押しどころが分からない。
ようやっと戻したときには、野茂はアナウンサーの顔に代わっていた。
「ごめんなさい」
その方は、笑顔をつくって謝り、
「野茂さん・・・残念ですね。アメリカに応援に行く願いが叶いませんでしたね」と、付け加えた。
暗さに目が慣れて気づいたのだが、ベッドに横たわっているその方の体には二本のチューブが取り付けられていた。
「手術、たいへんだったんでしょ?5時間しか経っていない割りに元気そうですね」
私の見舞いの言葉は完全にタイミングがずれてしまい、どちらが患者なのか分からないものとなった。
「ええ、でも、明日から、歩くんですよ」
と、その方はこともなげに答えた。
カテゴリー: 投稿者 :松井









