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2009年06月17日(水)

夢を語り合える同志

八王子のK邸の現場で、棟梁の遠藤さんがシンドバッドを思わせるような帽子を被って仕事をしていた。
「相変わらず若々しいね」と冷やかすと子供のようにはにかんで、
「俺には夢があるからよー」と言った。
「ほー、夢?!」
同行していた久保田さんが、
「遠藤さん、夢って?ぜひ聞かせてください!」とせがんだ。
すると遠藤さんはなお一層はにかんで、
「いまはまだ言えないなー」と笑った。
二階で仕事をしていた弟子の仲道さんが、聞き耳を立てながら下りてきた。
「私もぜひ聞かせてもらいたいです」
三人の願いも叶わずとうとう聞き出せなかった。
しかし、遠藤さんの表情には夢のある人しか持てない輝きがあった。

帰りの車中で、久保田さんが言った。
「遠藤さんとのお付き合いは、創業する前からですよね。ということは、40年以上・・・。私が小学生の頃からですか。すごいなー。そんなお付き合いができるなんて、うらやましい感じがします」
「たしかに、40年の付き合いってそうできるものではないですね。でも、杉江さん、高橋さん、古川さんもそうですよ。みんな“いい家”を造る同志という感じです」
私はふっと彼らと知り合った頃を思い出し、その話をしようとした矢先に久保田さんが弾んだ声で、
「なんでしょう?遠藤さんの夢って。とても気になりますね。船で世界一周かな?それとも、車で日本一周かな」と尋ねてきた。
遠藤さんの仕事に惚れきっている久保田さんは、気になって仕方がない様子だった。私が答えあぐねていると、
「そんな夢ではなさそうですね。松井さんは分かっているのでしょ?」と、探りを入れてきた。
「私にも分かりません。でも、40年以上も互いに夢のあることを語り合える同志でいるって、すばらしいことだと思いませんか?」
「思います。夢が何か、ということよりも、そのほうがすばらしいですね。感動します」
「夢のある人って、輝いているなー」
「遠藤さん、ケガや事故するなよ!」
私は心の中で叫んだ。

カテゴリー: 投稿者 :松井


 
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