涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

「礼節」としての住まい

投稿日:2016年3月6日

2001年元旦の日本経済新聞に掲載された免疫学者である多田富雄さん(故人)のご意見は、いまも私の家づくりの支えになっている。

この15年間に、わが国の家づくりは、構造・断熱・省エネでは目覚ましい進化を遂げ、ゼロエネで生活することも可能になりつつある。

しかし、「礼節」としての住まいは一向になおざりにされている。それは、量産住宅の宿命である「画一性」が、「個の尊重=住み心地=礼節」を追求できないからだ。

では、多田さんのご意見を紹介したい。


<「衣食住」というように、「住」は「衣食」のあとに来る。

また「衣食足りて礼節を知る」ともいう。

だとすれば「住」は「礼節」に等しいことになる。

「衣食」に関しては、すでに暖衣飽食の時代に入った日本で、「住」だけはまだ、雨露をしのげれば良いという低いレベルにある。

ということは「礼節」、すなわちモラルや品性も低いということになる。

21世紀の日本が求めなければならないのは、「住まい」という「礼節」だと思う。

日本の住宅の平均寿命は、たったの27年だそうだ。

ツーバイフォーなどの建築法を使っているアメリカに比べてさえ、半分にも満たない。

私たちは人の一生の3分の1以下の命しかない、安い使い捨ての住宅に住んでいるのである。

これでは「良き人がよく住みなし」て、次世代に遺産として残せるような、「礼節」の家にはなり得ない。

そればかりか、歴史ある土壁の民家や立派な木組みの農家などが惜しげもなく壊され、画一的な建築に置き換えられている。

いまの東京では無理といわれるかもしれないが、パリだってニューヨークだって同じである。

小さな古いアパートであっても、一生かかって作り出す住まいの「記憶」が、住む人の「礼節」を映し出す。

人間の平均寿命が延びた今こそ、「礼節」としての住まいの寿命のために、お金を惜しんではなるまい。>

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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