
松井修三の
思ったこと、感じたこと
35歳で家を建てる
投稿日:2016年3月26日

(左から社長、Yさん、私、設計担当の川上)
南に面した事務所のバルコニーから眺めると、若葉住宅のメーンストリートが見え、300メートルほど行った突き当りに小金井カントリークラブの林が展望できる。
眼下には、大地主さんの家の自慢の桜が開きかけていた。
「先ほど契約をいただいたYさんは35歳だよ。同じ歳、私は創業して2年目だった」
鉢物に陽光を当てていた女房に話しかけた。
彼女は手を休めて、懐かしそうに言った。
「あの頃、若葉住宅に平屋の家を借りて、4人の子供と暮らしながら事務所を設けて・・・。そうそう、屋根がスレート葺きでみすぼらしいからと、大家さんに許しを得て、二人で塗りかえて・・・。
ちょうど今頃だった。あの桜が咲きかけていたのを覚えているわ」
あれから36年後、若葉住宅入り口に向かい合った街道に面して事務所を新設するご縁に恵まれた。
さらにまた、西隣に体感ハウスを建てることができた。
しばらく、走馬灯を追うように二人の会話は続いた。
Yさんに質問してみた。
「30代のお客様は、インターネットで比較し、依頼先を決める方が多くなってきていると思うのですが、Yさんもそうなさったのですか?」
「ええ。ネットでもいろいろと検討しましたし、住宅展示場にも2度ほど行きました。
でも、決めた動機は、<「いい家」が欲しい。>を読み、次に社長さんの本、久保田さんの本を妻と二人で読んだからです。
たまたま資金に恵まれたので、少々高くても住み心地の良い家を建てようと考えていたので、建てるならこの家だと二人の意見が一致しました。
大好きなウクレレを、弾きたいときに思う存分楽しみたくて地下室も造ることにしました。センターダクトを伝わって音が伝搬しないかを確認させてもらいましたが、心配ないことが分かりました」。
私は、何か一曲聴かせてくださいと頼んでみた。
Yさんは、気さくにウクレレを取り上げ、一呼吸おいてから弾き始めた。聞き覚えのあるメロディーだ。
なんと、「峠のわが家」だった。咄嗟に、私の年齢に思いをはせ、かつ家に関係のある曲を選ばれたようだ。すばらしいセンスの持ち主である。
私は感動するとともに、このようなご縁をいただける家造りに自信を深めた。
ちなみに、「峠のわが家」は、アメリカのカンザス州の州歌となっている。
カンザスには峠はなく、見渡す限りの大平原で、日本以上に四季が明確にあるそうだ。そのカンザスに生まれ育ったPさんというアメリカの方が、終の棲家として「涼温な家」を選ばれた。
近々、基礎工事が始まる。
カンザスでは2軒の家を建てたというPさんは、ホームページのイラストを見て「涼温換気」を理解し、勉強会には日本人の奥さんと参加され、奥さんの通訳と体感で建てることを決断された。
ご縁というものは、つくづく不思議な巡り会いである。

- 松井 修三プロフィール
- 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
- 1961年中央大学法律学科卒。
- 1972年マツミハウジング株式会社創業。
- 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
- 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
- 現在マツミハウジング(株)相談役
「いい家」をつくる会代表 - 著書新「いい家」が欲しい。
(創英社/三省堂書店)
「涼温な家」
(創英社/三省堂書店)
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