涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

羊と鋼の森

投稿日:2016年5月27日

本屋大賞に輝いた宮下奈都著・「羊と鋼の森」(文芸春秋)を読んだ。

書店で「羊と鋼の森」というタイトルを見て、いったい何のことなのだろうと思った。

「羊」と「鋼」と「森」をそれぞれ連想してしまい、羊と鋼がピアノのことであり、森は調律に魅せられた一人の若者がさまよいこんだ世界のことだとは全く気付かなかった。

だが、20ページ目の最後の2行、「ピアノが、どこかに溶けている美しいものを取り出して耳に届く形にできる奇跡だとしたら、僕はよろこんでそのしもべになろう」という主人公の独白を読んだ瞬間から、この小説の中に吸い込まれた。

ショパンのノクターンをB&Oに弾かせ、深い森の中から聞こえてくるようにボリュームを調節し、一気に読んだ。


主人公はこんなことを言っている。

「きっと、調律師の人格も音に影響するのだろう」。


であるなら、造り手の人格が住み心地に与える影響はいかばかりであろう。


「いいものがうれしいのは純粋なよろこびだと思う。そこに関われるのは、この仕事の魅力だ」


家づくりは、お客様に純粋なよろこびを与えるものでなければならない。それができる家づくりという仕事は最高の魅力を発揮する。


「そもそも信頼関係がなければ、主観であろうと客観であろうと相手には通じないだろう」。


主観的な価値である住み心地は、まさに信頼関係がなければ真価を発揮しない。

というよりも、良い住み心地が良い人間関係を築くのだと思う。


調律をしている数時間、「匂いが聴覚の邪魔をするんじゃないか」と心配して、料理をしないで待つ主婦の話が出てきた。

匂いに邪魔されるのは、視覚も味覚もであり、音楽も読書も同じである。


「涼温換気」にリフォームして、ピアノの音が格段に良くなったと喜ばれたお客様がいる。きっと、空気の気持ち良さがそう感じさせたのだと思う。

この話を主人公に伝えてから、本を閉じた。

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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