涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

消費者マインドを冷やす要因

投稿日:2016年4月6日

(近くの桜)

政治や経済情勢に関するテーマは避けてきたのだが、どうにも気になるので書いてみた。

安倍内閣の懸命な努力にもかかわらず、デフレ傾向は一向に改善しないようだ。

2%の物価上昇目標の達成に疑問の声が高まっている。

その原因について、消費者マインドが盛り上がらないことを指摘する人のほとんどが挙げるのは、将来の生活不安だ。


私は、夜に散歩する。

住宅街を歩いていると、両側のほとんどの家が東日本大震災以後は門灯・玄関灯を消したままである。当時、コンビニやスーパー、自動販売機の照明が半分程度になったが、今では以前よりも明るくなった。

しかし、住宅は一向に明るさを回復しない。

人が住んでいないのでは、と訝しくなるほど節電に徹した家が多い。まるで、戦時中の灯火管制下にあるようでさえある。

古い家も、最近建ったばかりの建売住宅も同じだ。

100棟ほどの分譲住宅の中を歩いても、光景は変わりない。みんなが消して、外部に明かりがもれないようにしているから、自分も異端者扱いされないように気をつけているかのようだ。


残業して帰ってくる夜道は暗く、わが家の玄関先も暗い。これでは、消費者マインドは縮こまる方向に行かざるを得ないだろう。


そこにもってきて、国はさらなる節電を求めている。

暖房・冷房・照明・換気・給湯の一次エネルギー消費量に基準を設け、設計基準が下回れば、その程度を星の数で表示して奨励することにした。


このような基準を設けることは、国民にとっては両刃の刃となりかねない。

住宅メーカーには、星の数を競い合わせ、燃費表示競争を煽る。国のもくろみは、暖房・冷房・給湯に関してはプラスになるだろうが、照明と換気を節約すると、暮らしの豊かさ・楽しさ、健康の維持・増進にとっては明らかなマイナスに作用する。

これ以上の節電意識の高まりは、消費者マインドをますます委縮させてしまうおそれがある。


不安は、何事に対するものであるにしても暗がりで増幅するものだ。


国は、基準から照明と換気を除外して国民に働きかけるべきである。

玄関に明かりを灯そう。家の中をもっと明るくし、換気にエネルギー消費を惜しまず、健康で豊かな生活をするようにと。

そうすれば、短絡的と言われるかもしれないが、住人だけでなく町の気分が一変し、活気づき、消費マインドが盛り上がることだろう。


二酸化炭素排出削減という大義はあるにしても、行き過ぎた省エネは、国民の心まで暗くしてしまいかねない。

燃費、つまり節電を競い合う家づくりには夢がない。

私は、生活の質が高く、豊かで楽しい家づくりを提唱したい。


69歳という高齢でアメリカ第40代大統領に選任されたロナルド・レーガンは、「国民は壮大な夢を見る権利がある」と語った(村田晃嗣著「レーガン」中公新書)そうだ。

アベノミックスに、壮大な夢が見られないのは私ばかりなのだろうか。

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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