涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

鎌倉の家

投稿日:2015年12月2日

昨日、鎌倉市のW邸のお引き渡しが無事終わった。

鎌倉と聞くと地理的には遠いが、高速道路を使うと横浜事務所から約40分で到達できる。

江の島近くの海岸沿いを15分ほどドライブした小高い丘の上の住宅地に建つW邸からの眺めはすばらしい。


プランについてのWさんの要望は、極めてシンプルだった。

リビングからの眺めを良くすること。音に対して十分な配慮が欲しい。モーター音は嫌い。

担当した設計士から相談を受けたとき、私は真っ先に風切音に注意するように指示した。

現場を下見に行って、何よりも心配したのはそれと塩害だった。見晴らしが良いだけにもろに風を受ける。涼温換気のモーター音は、寝室にはまったく影響しない。


上棟してまもなく、台風に見舞われた。外張り断熱が終わり、窓が取り付いてしまえば心配ないが、両方とも手付かずの状態だったので無事をひたすら祈った。

翌朝早く、現場の近くに泊まり込んでいた大工さんの明るい声を聞いたときは、全身から力が抜ける思いがした。


お引き渡しが終わってWさんは、

「私の希望どおりに出来上がって、とても満足しています。

プランの前にもお話ししましたが、私はすごい冷え症でいて暑がりです。ちょっとの音も気になります。

加湿器の音、とくにお湯を沸かすときの音が気になるのです。超音波式は音がしませんが、白い粉の付着が気になります。

何かお薦めの加湿器はありませんか?」と質問された。


加湿器について、私は毎年新製品を比較検討しているのだが、これは良さそうだと思ったものでも、1ヶ月間は実際に毎日使ってみて、手入れもしてみないことにはうかつにお薦めできない。

加湿能力が適当(あり過ぎても困る)で、水の補給が楽にできて、手入れが簡単、音と風が気にならない、ランニングコストがまあまあ、そんな製品はまず見当たらない。

メーカーが「画期的な新製品」と謳っても、がっかりさせられるものばかりである。

そこで私の考えは、「まあまあのものを選んで、手入れをこまめにし、タイマーを上手に利用する。乾燥注意報が出された日には、マスクをかけて寝る」である。

全館空調で加湿もできると自慢しているハウスメーカーがあるが、5%ほどでしかないようだ。しかも、住人が管理できない。ニオイが発生したらどうするのだろうか?


私の説明を聞いて、Wさんは思わぬことを言われた。

「『涼温な家』は、パーフェクトではないということですね」

私が返事に一瞬戸惑っていると、笑顔で言われた。

「それで安心しました。加湿器に頼るのではなく、自分に合った湿度は、自分で管理するということですね。ますます楽しみです。ありがとうございます」。


帰りの海岸沿いで、写真の光景を見た。

Wさんのおかげで、至福の一時を堪能しながら、社員・大工・職人たちに限りなく感謝した。

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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