
松井修三の
思ったこと、感じたこと
部分断熱改修は健康に役立つのか?
投稿日:2015年2月24日
「高齢者が日中の大半を過ごす居室の窓と床を部分断熱改修し、高齢者の健康指標で代表的な「血圧」の動向に着目したところ、部分断熱リフォーム前後で、血圧の低下や起床後の血圧上昇が抑制されることが分かった。
暖かい住宅は高齢者の健康にもよいことが実証されたので、比較的費用負担の少ない部分断熱リフォームの普及を図りたいと、ベターリビング・健康長寿住宅エビデンスが発表した。
私は、この発表に少なからず驚いた。
調査対象にした家の平均築年数33年。ほぼすべての窓がアルミサッシ・単体ガラス、68%が無断熱の床。これを現行の省エネ基準程度まで改修し暖房すると、真冬、そうではない廊下やトイレ、脱衣室や浴室とでは10度前後の温度差が生じるようになったはずである。となると、血圧の変動は改修前より危険なレベルに拡大するのは間違いない。
そんな温度差を容認する「断熱改修」は、たとえ安上がりだとしてもやるべきではないし、普及をはかるなぞとんでもないことだ。
何よりも良くないことは、高齢者は暖かな部屋から動きたくなる。寒いところには行かなくなる。行動の加速度が鈍り、行動の範囲が狭まってしまう。この事実にこそ注目すべきだ。
それが健康寿命を短くしてしまう要因の最たるものであって、少々の血圧の変動ではない。
一部屋だけ断熱改修して、一部屋だけ冷暖房するのが一番省エネになって得をするなどという意見は、寝たきりを速め、介護・医療費の増大をもたらすのは明らかだ。
そもそも、築33年もする家は、断熱改修をするよりも耐震補強をこそ優先すべきである。

- 松井 修三プロフィール
- 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
- 1961年中央大学法律学科卒。
- 1972年マツミハウジング株式会社創業。
- 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
- 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
- 現在マツミハウジング(株)相談役
「いい家」をつくる会代表 - 著書新「いい家」が欲しい。
(創英社/三省堂書店)
「涼温な家」
(創英社/三省堂書店)
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