涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

節電は得なことだろうか?

投稿日:2015年1月21日

断熱性能が低い家で、暖房費を惜しんで節電に励むと健康寿命を失いかねない。


東京電力が推奨している「でんき家計簿」で、「お住まいの地域のよく似たご家庭」との比較をした人は、ご近所に負けたくないとばかりにさらに節電に励むようになるようだ。

私は、散歩をたいがい夜の9時過ぎにする。両側の住宅のほとんどは、玄関灯をつけておらず、お留守なのかなとよく見ると、かすかに明かりが見える。耳を澄ますとエアコンの屋外機が回っていない。

窓は、アルミの単体ガラス。断熱はグラスウール50ミリと想像される。今夜のように外気温が0度に近くなると、おそらく室温は10度を下回っているはずだから、ご家族はこたつで丸まっているのだろう。


私は軟弱な人間で、自慢は冷え症と暗がり恐怖症なので低温と停電がなによりも嫌だ。

だが女房は違う。暑すぎると素足でスリッパさえ履かない時がある。そして、照明をやたら消してしまう。わが家ではどこにもほとんど温度差がないので、すべての部屋のドアは開け放たれている。暗い部屋があると、戦時中の「灯火管制」の記憶が蘇って気分が滅入るので、私はできるだけ各部屋の照明をつけておきたいのだ。


散歩から戻って、わが家の玄関ドアを開けた瞬間に、毎晩夫婦は同時に言う。

「あったかーい!」

そこで考える。

「お住まいの地域のよく似たご家庭」とは、いったい東京電力はどのような点で似ていると判断するのだろうかと。比較のための入力項目は、住居タイプ・暖房・給湯の方法、太陽光発電の有無・家族数・家の広さだけである。構造も断熱・気密も、換気の方法も問うていない。

つまり住み心地に関わることが暖房の方法だけである。


住宅先進国とされているドイツやイギリス、アメリカなどと比べると、わが国の家庭の暖房エネルギー量は3分の1程度だそうだ。

にもかかわらず、国と電力会社は節電を煽る。それでは国民の暮らしは縮かんでしまう。消費者物価指数が期待どおりに上がらないのは致し方なかないとしても、こたつでまるまる暮らしは健康寿命を縮め医療費・介護費を増大させる。

国は、ウォームシェアなどと節電を美化しないで、せめて玄関灯をつけて、家中の温度を21度前後に上げる暮らし方こそ推奨すべきだと思う。

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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