涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

夏休みに思ったこと、感じたこと

投稿日:2016年8月16日

「いつのまにか“あの赤プリ”が消えてしまったのですよ!」


近所に住む今年78歳になるという女性は、当時の驚きを興奮気味に語ってくれた。


大成建設が開発した「テコレップシステム」によって39階建てのビルがまるでダルマ落としのように(女性の表現。実際は上層階から)見事に解体された様子はテレビで再三取り上げられた。


ビルの解体工事が「美しい」と称賛されたのは、古今東西で初めてのこと。


跡地には、複合施設からなるビルができあがり、36階から上に「ザ・プリンスギャラリー紀尾井町」という名の高級ホテルが先月オープンした。


学生時代、歩いて15分ほど離れた麹町に下宿していたので、「赤プリ」を見上げては、いつか泊まってみたいと夢見ていたこともあり行ってみた。


雰囲気、内装、部屋の家具・調度品、空調、照明、接客態度もよかったが、何よりも眺望がすばらしい。眼下に広がる東京の景色を眺めていると、終戦時からの思い出が胸中を駆け巡り、熱いものがこみ上げてきた。


外に出ると写真の「クラシックハウス」が、赤プリの時代を思い出させてくれて、すっかり若返った気分になった。


この建物について、プレジデント8月23日号の記事の一部を引用する。


「朝鮮李王家の東京邸だった歴史的価値の高い旧館は、今回『赤坂プリンスクラシックハウス』としてリニューアルされたが、青森・弘前城の修復工事でも注目された曳家技術で44メートル仮移設され、全体工事からの影響を回避する措置が取られた」。


実際に玄関の前に立ってみると、「曳家(ひきや)技術」のすばらしさに感嘆した。


建築工事の中ではきわめて地味ではあるが、とくに文化財保存のためになくてはならない技術が、後継者不足のために廃れていってしまうのではないかと心配されている。若者たちにぜひ見学してもらいたいものだ。


ところで「プレジデント」は、ホテルを「超リッチ」と紹介していた。


私の評価基準は、ニオイと空気である。気になるニオイと音がなく、空気が気持ち良いことが絶対条件だ。それらが不満では評価の対象にもならない。


「涼温な家」に住むと、どんな高級ホテルや旅館でも空調を不満に感じてしまうものだが、かすかな「新築の臭い」は仕方ないとして、部屋の空気は「まあリッチ」だった。


最新の空調だからと思いきや、「大手町の温泉旅館」として先月華々しくオープンしたばかりのところでは、音が気になって熟睡できなかった。


夜中に、市松模様の天井を眺めながら、住宅が空気の気持ち良さで評価される時代を思い描いていた。

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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