涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

客の心を和ませるもの

投稿日:2014年11月6日

とあるレストランで昼食を食べていたときのことだった。

空いた皿を下げる際に、若い女性の店員さんが「お預かりします」と言った。

一緒に食べていた友人も、私もその一語にギクッとした。友人が言った。


「私の高校生になる孫は、スマートホンでラインというツールを使って、ひっきりなしに友人とコミュニケーションを取るのだそうです。そのとき大事なのは、いかに言葉を省き、ユニークな造語を用いるかだそうです。文章を見せてもらいましたが、解説がないと意味が解らなかったです。

そして、自分の心情はスタンプという絵で表現する。いまの『お預かりします』もそんなところから出たのですかね」


「先月、イギリスに行ったのですが、店員さんは、『Finish?』とちょっと語尾を上げて尋ねるんです。直訳すれば『終わりか?』なのでしょうが、あの方がはるかに自然でいいですね」

「お預かりしますはないですよ。帰るときに、あの皿を返してくれるのでしょうかね」

友人の冗談に思わず笑ってしまった。


「普通には『お済ですか?』でしょうね」

「そうそう、私はあるレストランに入る度に気になることがあるのです。それは、店員さんがやってきて、両手をおへその辺りで重ねて、慇懃にいらっしゃいませと深々と頭を下げて挨拶することです。その姿勢は、滑稽なほど型どおりでしてね、心が籠められていない」

「それは、スーパーのレジの女性もやってますね。たしかに、あの姿勢にはいつもよそよそしさを感じます」

「私の女房に言わせると、そんなことを気にするのは年寄りの証拠だ、となるのですが、あんな仕草をマナーとして提案するコンサルタントがいるのでしょう。そして、それをサービスだと勘違いする経営者がいる。

彼女たちに共通しているのは、そのポーズをとる瞬間に笑顔がない。

『フィニッシュ?』には、たいがいウィンクするような微笑があるのです。どうです?おいしかったですか?というような。だから、気分がいい」。


心のこもった笑顔ほど、客の心を和ませるものはない。

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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