マツミハウジングは東京・神奈川・埼玉で
住み心地のいい家 「涼温な家」を建てています。 「涼温な家」マツミハウジング

涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

デザインの横暴

投稿日:2014年11月28日

その日の昼食は、和食にしたくてとある店の前に立った。

入り口が、霞がかかったようで定かではない。すりガラスにぶつかりそうになりながら、よろけるように中に入って案内された席に座った瞬間、「これはダメだ」と思った。

なにせ、霞かもやのような感じが眩い。周囲が白いレースのカーテンのようなものに覆われているせいか落ち着かない。この眩しさを我慢して食事をする気にはとてもなれそうもない。

私は、出ることを決意して立ち上がり店員さんに事情を説明した。

「では、もっと落ち着いた部屋にご案内しましょう」と連れて行かれたのは、入り口に近いところにある別室だった。

客は私以外にだれもいなかった。

まあ、少しはましかとそこで我慢することにした。


やがて、小奇麗な器に盛られた前菜が運ばれてきた。

一口食べる頃、私はその部屋の内装にうんざりさせられていた。すりガラスで作られたカウンターの内部から、長く直線的な蛍光灯が無機質というか無様に客席を照らし、周りは例の霞のように白いレース(すだれ?)で覆われ、一時代前の大病院の光景そのものだ。

床が黒で、壁と天井は白。全体としては、なんとしても和風を強調したいというデザインである。「源氏物語の世界だよ」とでも言いたげなそのデザインの横暴さにうんざりさせられた。


やがてメーンの料理が運ばれてきて、ごはん茶碗を持ち上げて驚いた。大相撲の優勝杯を縮小したようなデザインでずっしりと重く、持ちづらいことこの上ない。左の掌から滑り落ちそうで気が気でない。味噌汁の椀も異常に縦長で、汁は半分しか入っていないとはいえ、見るからに不安定だ。

天井から吹き降ろされてくるエアコンの冷気もつらく感じ、料理を賞味できないほど気になることが多かった。


片付けに来た女性に質問してみた。

「この茶碗は、持ちづらいですね」

「はい、お客様から同じようによく言われます。でも、女流陶芸家として有名な○○先生の作品です」

「ところで、この雰囲気はどう見ても病院という感じがしますね」

「はい、それもよく言われます。でも、○○○先生の設計です、と説明しますと大概の方は納得されるようです」

着物を見事に着こなしている女性は、淡々と説明して立ち去った。


昼食は、長くても1時間で終わる。

しかし、住まいは一生の付き合いだ。

デザインの横暴は許されない。

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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