涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

英国パッシブハウス・コンフェレンス2014

投稿日:2014年10月20日

イギリス在住の省エネコンサルタントである荒川英敏さんから、16日にロンドン郊外のスチブネス市で行われた「英国パッシブハウス・コンフェレンス2014」について報告をいただいた。


「パッシブハウス」というのは、ドイツパッシブハウス研究所が規定する性能基準を満たす認定住宅である。その基準は、世界各国の省エネルギー基準の中で最も厳しいとされ基準を満たすためには、断熱・気密性能、窓・換気装置の選別、熱損失・消費エネルギーの計算などハイレベルな設計並びに施工力が求められる。

それ故、わが国では、もともとドイツ指向の強い建築家や設計士、評論家がこの認定を受けないことには高性能住宅とは言えないと声高に主張するようになった。


しかし、北海道で気温がマイナス20度以下にもなるようなところで建てるならともかく、津軽海峡以南の温暖地では性能過剰であり、かえって住み心地が悪くなる、と私は5年ほど前から主張している。

実際に、体感してみるとよく分かるのだが、ほとんどといってよいくらい、高温多湿・梅雨 という特殊な気候に配慮されていない。

9月30日の「放射熱の圧迫感」を再読されたい。

http://www.matsumi.com/blog_448.html#ArticleBox

以下は、荒川さんの感想の一部である。

意外だったのは、全世界でのパッシブハウス基準での建築戸数が、昨年で37000戸と少なく、英国では250戸とまだまだパッシブハウスは黎明期であると認識しました。


パッシブハウス基準はエンベロープ(外皮)の断熱性能と気密性能の向上に重きを置き、室内空気環境の維持のためにMVHR(第一種熱交換型換気)を必須としていますが、メンテナンスについては基準には明記されていません。

しかしながらその重要性については、講演のテーマの一つとして取り上げられており、松井さんがゼロ・カーボンハウス・ハブで熱弁を振るわれたのと同じく、各講師が繰り返し強調していたのは、アクセスのしやすさと住人のフィルター管理への理解と協力の大切さです。「涼温換気システム」は、その点でも世界のトップを走っていると再確認しました。


出展企業の中で目立ったのが窓・サッシのメーカーでした。いずれもパッシブハウス基準の窓の熱貫流率0.85w/m2を達成する為に、トリプルガラス(三重ガラス)窓が主流で、出展メーカーのトリプルガラス窓は、熱貫流率が0.6w/m2から0.7w/m2の性能を持っているものでした。マツミハウジングでもエンベロープの断熱性能の更なる向上に、トリプルガラスの採用を積極化する必要があるのではないか、つまり、換気とともに窓を重視することが大事であると思います。


講師のジョン・デフバー氏(建築家)の意見が印象的でした。

<パッシブハウス(PH)基準は一つの性能基準で、必ずしも顧客に取っての理想的な住宅だとは思わない。何故ならばPH基準を満たす為にPH認定の部材を使わなければならない。これは実は矛盾している。顧客に取ってのベストな住宅は、まずは建築基準を遵守しながら、いかに顧客が快適に過ごせるかを考え、これを追求してエンベロープを決め、そして換気システムつまりMVHRを入れて、顧客が快適な居住環境をコントロール出来るように、つまりMVHRのフィルターの清掃が極めて容易に出来るように配慮することである。

顧客から快適でないとの苦情が来るのは、顧客が悪いのではなく建てる側、つまり設計と工法と現場が悪いことを我々が認識しないと顧客はついてこないだろう。>


この意見は、松井さんの考えと同じであり正論だと思いました。


今回のコンフェレンスで講師をはじめ数人の建築家と面識が出来、今後、住宅に関連する様々な問題点や疑問の解決のネットワークが増強できたことは大きな収穫です。

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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