涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

「いい縁は、いい縁を招く」

投稿日:2014年9月16日

代々の「町医者」を自負されているE先生の医院兼ご自宅をお引き渡ししたのは半月ほど前だった。オープン記念に何かプレゼントをとお尋ねしたところ、奥様から待合室に置く絵本を望まれた。


その絵本選びを私が仰せつかった。医院を訪れる子供たちが喜ぶ姿を想像しながら、選ぶのはとても楽しいことだった。

奥様からお礼のお手紙が届いた。その中に9月16日まで長野県安曇野市穂高にある「森のおうち」で、「いせひでこ絵本原画展」が行われているのでぜひ行ってみたい、大好きな作家さんなのだと書いてあった。


松井さんに報告すると、「安曇野の碌山美術館に前々から行きたいと思っていたので、奥さんがそんなに見たいと言われる展覧会ならば、この際私も行ってみましょう」ということで、急遽、八王子駅から特急「あずさ」に2時間41分乗って穂高駅に到着した。

プラットホームで北アルプスの山並みに見とれていると、突然とても若やいだ声が背後から響いた。

「松井さん、久保田さん!」

なんと、そこには奥様がにっこりしながら立っておられた。


絵本が招いたご縁を喜び合いながら、3人でタクシーに乗って「森のおうち」に向かった。沿道にはコスモスが揺れて、田んぼの稲穂は黄金色、山並みを背景に空は青く、白雲がたなびく。

奥様は、「まるで絵のような風景ね」と移り変わる景色に感動されていた。


お引っ越し後の新居での暮らしを伺うと、「それがね、まるでずっと前から暮らしていたような気持ちがするのよ。もうすっかり新居になじんだわ。住み心地がとてもいいからだわね」と言ってくださった。


10分も走ると民家はなくなり、赤松の林を抜けると「森のおうち」があった。

館内では個々に自分のペースで作品を鑑賞したのだが、“いせひでこ”さんの「かしの木の子もりうた」や「チェロの木」、最新作である「わたしの木、こころの木」などの原画にふれていると、そのやさしい絵や言葉に心が洗われていくようだった。


館長さんの話では、すぐ隣のコテージに、“いせ”さんがご主人(柳田邦夫さん)と宿泊されており、美大生たちを連れて近くにスケッチに行かれていて、そろそろ戻られる時間だとのことだった。

私たちは、碌山美術館に向かうため奥様とはそこでお別れをしたのだが、タクシーの窓から、沿道を生徒さんたちと戻ってくる“いせ”さんをお見受けした。

きっと、奥様も「森のおうち」で、お会いでき感激されたことだろう。

童女のように目を輝かせて、今日の幸運を喜ばれているお姿が想像できた。

「いい縁は、いい縁を招く。まったくそのとおりですね」

松井さんの言葉に、私は心から同感した。

                      久保田紀子

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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