涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

香りは、快適を狭める

投稿日:2014年9月29日

デパートへ行ったので、香料のコーナーに立ち寄ってみた。

よくぞ揃えたものだと感心するほど様々な商品が並べられていた。50年配の気さくな女性の店員さんがいたので尋ねてみた。

「これだけの数の香料の中から、気に入った一品を選ぶのは大変なことですね」

「そのとおりです。香水は自分が好きなように選べばいいのですが、家につける香りですから、家の臭いとのマッチングがとても大切になります。

うまく合うと、うれしいものでしてね、毎日の暮らしがハッピーになりますよ」

「でも、自分たちには合う香りでも、ゲストには気に入られないということもありますよね」

「それはあります。ゲストからも喜ばれるセンスが大事です。香りは、その家の品位そのものです」

店員さんは、肩をすぼめ両手を広げて言った。


私は、「センターダクト換気」を開発したとき、アロマテラピー効果を試したことがあった。ヒノキの香りをはじめ、精神安定に効くという能書きのものなど10種類以上を試して知ったことは、香りが気にならないさわやかな空気ほど気持ち良いものはないということだった。

その実験はひそかに東京体感ハウスで行ったのだが、その最中にやってきた久保田さんは、玄関ドアを開けるや否や「この臭いはなんですか?」と、不快感をあらわにした。

私が自然素材の香料で実験していることを説明すると、すぐに止めた方がいいと言った。

自身が仮住まいでシックハウス症候群に悩まされた体験者であるからというのではなく、「空気に香りをつけるようなことはすべきではない。香りがあることは、決して快適ではない」と主張した。


確かに、最高と自負する機械換気の家で、アロマ効果を付加価値とするのはおかしな考えだった。

私は、ただちに実験を中止した。


家には、香料を持ち込むべきではない。香水ですら、なるべくなら避けたい。

機械換気がもたらすさわやかな空気こそ、最高のアロマ効果をもたらしてくれるのだから。


私は、走馬灯のように当時のことを思い浮かべたのだが、店員さんの親切な対応に感謝すべく適当なものを一つ購入した。

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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