涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

「家中いつも快適」と「部屋だけ、いっとき快適」

投稿日:2014年8月13日

「文芸春秋」8月号の大型企画「『死と看取り』の常識を疑え」の中に、白澤卓二順天堂大学大学院教授による「100歳まで元気なアンチエイジング最新報告」があった。


「老化」を遅らせようということで、世界の医学研究者が発表した18の新発見が、食生活編、メンタル編、運動編と三つにテーマを分けて解説されている。

その中の運動編で、白澤先生は「こたつは色々な意味で良くない」と言われているが、それは私が以前から常々言っていたことでもある。


以下は白澤先生の意見の抜粋である。

「私は5年前から長野県飯山市の飯山赤十字病院で、『糖尿病・メタボ外来』を担当しています。そこで飯山市の糖尿病患者を見ていると、季節の変化が患者の容態に影響を及ぼしていることに気付きました。秋になると患者の血糖値が上がり、体重が増加するなど糖尿病のコントロールが悪化し、春先になると徐々に改善していく、といった具合です。

実は、それは「こたつ」を出す時期が関係していました。こたつはぬくぬくと心地よく、運動する機会を減らしてしまいます」。


「涼温な家」でこたつを用いる人はまずいない。白澤先生は、「加速度(日常生活の活動量)」ということを重視されている。高齢になるにしたがって、人の動きは鈍くなりがちだ。こたつほど「加速度」を失わせるものはない。椅子の暮らしをしてみるとよく分かることは、思い立ったとき、どこへでも気軽に動くことができる。つまり加速度が断然増すことだ。家中に温度差がなく空気が気持ちよいと、「加速度」はさらに増す。


これに対して、部屋だけ冷暖房、とくにこたつを必要とする家に住む人は、高齢者でなくても他の部屋への移動を極めて億劫に感じるので動きが少なくなるものだ。家の中に快適差があると、だれも不快なところには行きたくない。かといって、人のいない部屋のエアコンをつけておく気にはなれない。

冬も夏もトイレに行くのに覚悟が必要となる。健康な排泄は、最高の快楽であるはずが不快に感じる家は最悪だ。


寒さ・暑さのために高齢者が日々の暮らしにおける活動量を減らすと、てきめんに心身が劣化してしまう。気持ちが萎えるとともに筋肉が減少する。いわゆる「サルコペニア」や「うつ」になりやすい。


家中が快適なら、ちょっとしたこと(探す、片付ける、掃除するなど)が気軽にできるから脳が活性化する。表情がいきいきとしてくる。トイレに行くことですら楽しくなる。

この日常の暮らしにおける「ちょっとした気軽な動き」こそが、アンチエイジングに役立つのだと思う。


「家中いつも快適」と「部屋だけ、いっとき快適」とでは、住み心地の価値がまるで違う。後者は、前者よりも多少節電に役立つとしても、健康寿命を延ばすのには役立たない。


白澤レポートを読んで、「涼温な家」がアンチエイジングに果たす役割の大きさを確信した。

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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