涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

エアコンのいらない家

投稿日:2016年1月9日

今日、私が応対したのは、50歳半ばと思しきご夫妻だった。

ひととおり体感された後で、お話しをした。


ご主人がぐいと身を乗り出され、「今日お邪魔したのには、いきさつがありまして」と話し始めた。

「先日、本屋さんで目に入ったのが『エアコンのいらない家』という本でした。


今の家は築60年ほどですが、両親が節約志向で、エアコンはぜいたく品だと言って1台も使っていません。

暑ければ窓を開ける、寒ければ重ね着をする、電気は必要最低限にする。そういう家庭で育ちましたから、その本の『はじめに』に書かれていた言葉に目からうろこの思いがしたのです。


エアコンを使わない暮らし、エアコンが要らない住まいとは、エアコンのなかった時代、電気のなかった時代の家だというのですから。


でも、途中から首をひねり、本当にそうなのだろうかと疑問がどんどん湧いてきました。なぜなら、今住んでいる家となんら変わりがないからです。

暑い、寒いがたまらなくて家を建て替えたいのに、暮らし方を工夫すれば快適になると言われても、それではひたすら我慢するしかないと経験済みなので説得力がありません。もうこれ以上、暑さ、寒さに耐えるのは限界です」

傍らの奥さんが大きく頷かれた。


「母は、3年前の冬に風呂場で倒れ、父は昨年の暮れにトイレで倒れました。そこですぐに電気屋に行って暖房器を買ってきたのですが、なぜか返って寒く感じるのです。

この本ではダメだと思い、今度はアマゾンで住宅本の人気ランキング1位の「エコハウスのウソ」という本を購入しました。

それを読むと、『エアコンのいらない家』とか、『風の抜ける家』いう考えには問題があると気付かされました。「エコハウス」と呼ばれる家の問題点はよく分かったのですが、ではどういう家を建てたらよいのか、その答えが見つかりません」。

ここまで話して、ご主人はこの先はあなたが話してと奥さんを促した。


「私は、近所の図書館に行きました。そこで出会ったのが久保田紀子さんの<さらに「いい家」を求めて>でした。

同じ主婦で同じ年頃の方なので、『うん、そうか。そうなのか』と納得の連続でした。久保田さんが嫁がれた先が、正に私と同じ環境のようでした。隙間風だらけ、お風呂に入るときの寒さ、子育ての頃のつらさ、いろいろ思い出して胸が熱くなりました。

そして『いい家三部作』を借り出してきて、主人と一挙に読みました」


ご主人が再び身を乗り出された。

「『涼温な家』は、理に適っています。先ほどの二冊の本を読んでいたので、つくづく納得できました。

エアコンのいらない家ではなく、エアコンで快適になるエコハウスを建るのが一番と気づきました。

というわけで、介護施設にいる母を家に引き取りたいのと、父もいずれ在宅介護になると思われるので、一日も早く建て替えたいのです。

ご夫妻の表情には、強い決意がみなぎっていた。

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

アーカイブ

2017年
2016年
2015年
2014年
2013年

▲ページの先頭へ