涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

契約金を支払うという約束

投稿日:2013年10月11日

夫や子供、両親や兄弟姉妹もいないという方の契約が横浜店で3件ほど続いた。

今日、その内のお一人が公証役場にて遺言状の作成をされ、その立会人として私と設計士で、「御本人の意思において作成されたものです」という証人になるために出かけた。その内容には、二つの取り決めがあった。


一つは、建築中にご本人が亡くなった場合、本人が定めた遺産管理人が契約金を支払う。二つは、その家を売却したり取り壊す場合は、遺産管理人はマツミハウジングに必ず相談する。

公証人が、文書を読み上げ確認を求め、ご本人と私たちが署名押印をし、現物は公証役場で保管された。生まれて初めての体験だけに、大いに緊張した。そして、一連の説明を聞きながら、公証される遺言書の作成ということの重要性を身にしみて感じたのだった。


お客様は、必要な書類を用意したり、遺産管理人を決め、お願いに行ったりとたいへんだったが、これで安心して家づくりと取り組めると言ってくださった。

「売却したり、取り壊す場合にはマツミハウジングへ相談する」とい文言は、どこかマツミが有利なように思えるかもしれないが、お客様は言われた。

「マツミさんの家には、住み心地というかけがえのない価値があります。それが分からない人に管理を任せるわけにはいきません。こうして、契約金をお支払いするという約束を実行すると覚悟を決めたからには、私に何かあった場合にもマツミさんに誠心誠意を尽くして建てていただいて、管理もしていただきたいですよ」と。


遺言書を公正証書として作成することには最初、私はすごく抵抗を覚えた。そこまで、安全な契約を求めるのはエゴではないのかと。

だがしかし、相続人がいない人が家を建てたいと願うケースは、これから多くなるのではなかろうか。そのような場合、万が一を考えておかなければ、たとえ経営的にゆとりがあるとしても、工務店はにっちもさっちも動けなくなる。

建築中の家を取り壊したり、出来上がったばかりの家を取り壊したり、いつまでも空き家で放置しておくなどすべきではない。ご近所にとって、また社会にとってもこんな不安で迷惑なことはない。


今回、思ったのは、契約金を支払うということは、造り手にだけではなく社会に対しても責任を持つということだ。

工務店主が、契約金の支払いを確保するのは、会社だけではなく、社員、大工、職人、そして関係業者の生活を守ることだから当然だろうが、社会的責任を全うするという点でも大事なことなのだ。

松井さんの判断は、正しかったと思う。


                      久保田紀子

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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