涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

田園調布の家

投稿日:2013年10月28日

田園調布駅から徒歩8分で、H邸の現場に着く。

近くの駐車場が満車のときは、駅周辺のパーキングを探す。

東京で屈指と言われる高級住宅街の瀟洒な家々を見歩くのは楽しいことだ。デザインもさることながら、どうしても関心は住み心地に行ってしまう。外観から、構造・断熱・換気・冷暖房の方法を想像するのだ。


Hさんがマツミに来られたのは5年前になる。新換気方式に移行したときだった。

田園調布に土地を決めたと伺ったときは、新換気方式でよかったと思ったものだ。

というのは、テレビでも何回か取り上げられたが、近くを通る環状八号道路の上空には、「環八雲」といって、排ガスなどの大気汚染物質が帯状に滞留する現象が起こる。

「新換気」の家は、これまでに田園調布で3棟、近くの「自由が丘」「奥沢」「北嶺町」「等々力」などで10棟ほど建っている。それらの家々にお住いの方が、「外気浄化装置」のフィルターが2週間ほどで真っ黒になると言われているからだ。


Hさんは、本を読まれてから実質的に4年もの間、土地を探され続けていた。その間には、不動産業者からの勧めや、大手ハウスメーカーとのお付き合いもあったことだろう。しかし、Hさんは依頼先の選択について、いささかもぶれることがなかった。

それは、「家に何を求めたらいいのか?」が明確に判っていたからだ。「住み心地こそが住宅の根源的な価値である」とする本の主張を全面的に納得されていた。


昨日、二階に同居予定の息子さん夫妻も立ち会われて、無事お引き渡しが終わった。大阪に住んでいる息子さんは、ご両親に家造りをほとんど任せっきりだったので、遠慮っぽくこんな質問をされた。

「マツミさんの家と、他のメーカーとの違いを一言でいうとどうなりますか?」

私は、常日頃その質問に対する答えを考え続けている。一言で、「涼温換気の家」を表現するにはどうしたらよいのか。


「二言で言わせてください」

ご両親が、いまさらそんな質問は要らないよという表情をされたが、私は、よくぞ聞いてくださったと言わんばかりにお答えした。

「空気と湿気の違いです」

「外の空気は、決して健康によくない、という前提で家を造ります。さらに、寒さ、暑さだけでなく湿気を、ほどほどにコントロールします。そうすると、1年中、健康に役立つ気持ちのいい家になります」

「湿気ですか。そこには気付かなかったです。そう言われると、大阪の暮らしは、とくに湿気との戦いですね。夏はじっとりしたよどんだ空気、冬は結露と・・・」

傍らの奥さんが大きく頷かれ、

「ここ、田園調布には素敵な家がたくさんありますが、汚れた外気の侵入や、結露やカビで悩んでいる家もあるのでしょうね。一日も早く引越してきたいです」と、期待を込めて言われた。

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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