涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

床暖房は過去のもの

投稿日:2016年2月4日

床暖房は30年ほど前、すなわち「高気密・高断熱」以前の家では夢の暖房とされていた。

断熱水準で言うと、平成4年基準程度の家である。それが平成16年に改正された次世代省エネ基準(関東以西の温暖地/UA値0.87W/m2・K)を満たして造られた家では、床・壁・天井に不快に感じる温度差が生じなくなった。


気密レベルを相当隙間面積0.5平方センチメートル以下にすると、さらに温度差が減少し、「なんで床だけ暖めるの?」という疑問が顕著になった。


マツミの体感ハウスは、10年後に求められるとされる断熱基準からしたら最低レベルでしかないと評価する人もいるであろうが、あえて「ダブル断熱」をしなかった。

それでも、日射取得に特別な工夫をすることもなく、冷暖房は1台のエアコンで家中が快適になることが、数多くの実証で分かっているからだ。


最近の住宅専門紙を見ると、断熱自慢の工務店の性能が紹介されている。

「屋根/セルローズファイバー300mm厚、壁/70mmポリスチレン外張り、100mmグラスウール充填、窓/アルゴンガス入りトリプルガラス」といった具合だ。

「おいおい、いったいどこの寒冷地に建てるのだ?」と聞きたくなってしまう。


断熱自慢競争の火付け役をしたのは、一条工務店であることはつとに知られている。

しかし、「ダントツ」の断熱性能を誇っているのに床暖房を標準とし、さらに個別エアコンによる各室冷暖房である。


そのおかしさに気づかないのか、「一条に追いつけ、追い越せ」と意気込む工務店が増えてきた。まさに数値競争だ。著名な住宅評論家や専門紙がそれを煽り、国が補助金を出して応援する。


暖冷房費が、こんなに節約になると声高に主張するが、小屋裏は、マツミのように暑くもなく、寒くもなく、外部からのホコリの侵入もなく、空気が気持ち良い収納スペースとして利用できず、ただ断熱材の充填スペースとなるとは説明がない。

真冬でも日当たりの良い日は、オーバーヒートになって不快に感じるとも説明がない。過剰な断熱強化は、必ずしも住み心地の向上に役立つとは限らないのだ。


放射熱がきつくなり、不快に感じるようになる。夏は「涼」ではなく「冷」となり、冬は「温」ではなく「暖」となる。

この事実は、実際に住み比べできる人でないと分からない。


まあ、それはともかくとして、床暖房は過去のものである。

第三種換気と組み合わせると、住み心地は最悪にならざるを得ない。

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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