マツミハウジング 住み心地のいい家 
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海外視察旅行記
世界に誇れる、
住み心地いちばんの家を目指して

2015年9月
スペインイギリス
バルセロナ・マドリッド・ロンドン編

ヨーロッパ建築を訪ねて(スペイン・イギリス)

大気汚染の衝撃

バルセロナの街中にある建築家協会は、ピカソの壁画で有名だ。

そこで建築士であるダニエルさんと、バルセロナに35年前から住んでいるという日本人の通訳・東海林さんを交えて懇談した。

地中海気候のため温暖で常に湿気を含んだ風が吹いている。街中は車に溢れ、大気汚染は見るからにひどそうだった。

ダニエルさんは、大気汚染(特にトラックの排ガス)が子供たちの脳の発達を損なうというグランジャン博士の調査研究について知らなかったが、年齢を問わず市民にとっての脅威であるとともに、サグラダファミリアにとっても危惧されることはたくさんあると眉をひそめた。

プレキャストコンクリートで組み立てられる住居の模型の前で、サグラダファミリアも今はこの方式が主になっている、大気汚染を考えると、これまでのようにそうそうのんびりと手造りしているわけにはいかなくなったとのこと。これからは、大幅に工期が短縮される見通しだそうだ。

そのせいか、20年前に見たときよりも味気なく見えた。職人が姿を消して、組み立てのスピードが速まるせいなのか、現場は無機質化してしまうようだ。


ガウディーは、天才的な建築家であるのは確かだが、こうまで大気汚染がひどくなるとは予想していなかったに違いない。

大聖堂は、四方を道路に囲まれているだけに、いまも、これからも車の排ガスに曝されながら完成を目指して行かざるを得ない。

それにしてもこの凄まじいばかりの車の洪水はなんとかならないものだろうか。


この心配は、次に訪れたマドリッド、ロンドンでも強まるばかりだった。

そこに、フォルクスワーゲンの排ガス不正操作を知っただけに、衝撃は大きかった。

ガウディー建築 
換気と住み心地を重視する姿勢

ガウディ建築の住居の代表作とされるグエル邸で気付かされることは、換気の経路が見えることだ。見えない空気が見えるということは、そう思えるように換気が工夫されているということだ。

バルセロナ市内にあって、連棟式のマンションの一画を占めるグエル邸の内部には、ガウディのこだわりが随所に見られる。1900年初頭に馬車置場を地下に設けるという発想には驚いた。施主は大富豪なので予算はたっぷり用意されていたにしても、常時数十頭はいたであろう馬の糞尿の処理が大問題だったはず。

悪臭から上階をどうやって守るか、天才建築家といえどもさぞかし頭をひねったに違いない。馬の脚を守るために十分配慮された排水溝をはじめ、換気と採光のためのものと思われる外壁沿いに設けられた明り取りを兼ねたタワー状の煙突。

ガウディが得意とする構造力学の見どころ以上に、それらは私の関心を引いた。


忘れられないのは住居のトイレである。なぜ約1m×約1.5mほどのこじんまりした広さにしたのだろうか?

建物の規模には、あまりにも小さすぎる。二方向に窓があることから想像したのだが、臭気の拡散を嫌い、臭いを速やかに排出するためにはもっとも適度な広さだと。

そうだとすると、ガウディは臭いに敏感な建築家だったと言えよう。

言い換えれば、住み心地を大切に考えていたのだ。


屋上には、ガウディ建築を象徴する排気塔が建ち並んでいる。形状だけでなく穴は一つとして同じものはなく、形と大きさが異なる。デザイン上の理由なのか、換気の効率を考えてのことなのか理由は分からない。穴に手を突っ込んでみると、かすかに気流を感じた。

自然換気で換気の効率を良くすると、当然のことながら熱損失が大きくなる。暖房しても、暖まった空気はどんどん排出され、その分、冷たい空気が浸入してくる。ガウディによって建てられた住まいは、冬は寒いと評判だったかもしれない。

そのせいかどうか、グエルさんは数年しか住まなかったそうだ。


カサ・ミラ(一番下の写真)には、直線が見当たらない。すべてが曲線による造形美だ。

つまり大量生産品は一つも使われていないということだ。建築当初は悪評だったというその徹底したこだわりが、世界中から見学者を惹きつけているのだと思われる。

閉館まで1時間というのに、エレベーターには長蛇の列ができていて、階段を上がることを薦められた。最上階まで一気には上れない。途中何回か休んでは、いま建築中の新・体感ハウスに思いを馳せた。

建築家としてガウディとは比べようもないが、換気を重視した上で、住み心地にこだわる姿勢だけは足下に跪けるかもしれないと、わが身を励ましつつ上階を目指した。

二つの不快な印象 その1

(下の写真は、1階のレストランでもらった絵はがき)


今回の旅行にも数々の感動があったのだが、それらは二つの建築物から受けた不快な印象によってより強いものとなった。

一つは、バルセロナの中心街からバスで30分ほど走った郊外に建つ「ウォールデン7」である。これは、リカルド・ボフィールというバルセロナ出身の建築家が設計した集合住宅だ。16階建、世帯数446。


ある日本の建築雑誌に紹介された写真で見て、どうしても実際に見てみたくて訪ねたのだった。じっくり眺めていると、気分が悪くなった。

その時は快晴だったが、写真で見たよりは、建築家が自慢する不規則に壁面に出っ張った半円形のベランダの下にできる影が、はるかに淡く見えた。

レンガ色の壁面に強力なアクセントをつくり出すはずの影が淡いと、この建物は「美」を発揮しない。美を感じないと、実利面に思いが走ってしまう。


そもそも、円形のベランダは使い勝手が悪い。物の置き勝手に苦労する。それにあの大きさでは、室内に入る陽光が少な過ぎていないか。

おやっ!よく見ると、囲ってしまって窓をつけている部屋もある。風の流れも悪そうだ。そもそも換気を考えているのだろうか。住人は、カビと臭いに悩まされていないのか?

家賃が安い公営住宅なので、入居者は不便や住み心地の悪さを我慢しているに違いない。


建築家は、ガウディのデザイン力を凌駕したくて頑張ったのだろうが、その分「醜」が際立ってしまっている。

「わざと普通と違っていることをして人の注意を引こうとする」ことを「奇をてらう」というが、正にその言葉を地で行った建物だ。

建築家の自己満足・エゴが高笑いしているようなデザインに、不快な印象を受けるのは私ばかりだろうか。