階段下収納の魅力
床下にエアコンを設置して暖房を図る試みが一部で注目されているが、私は20年以上前に取り組んだことがある。
熱風を床下全体に送るために送風機を設置したり、いろいろと工夫してみたが、暖かさ不足、温度むら、乾燥、管理、メンテナンスなどの問題が多すぎて2シーズンで止めてしまった。
もし、「床下エアコン」に拘っていたら、「涼温な家」にはたどり着けなかっただろう。
床下利用の最大のメリットは、災害用物資などの置き場である。自宅の階段下には、飲料水、トイレットペーパー、非常食などの他に、大型のスーツケース3個が収まって、古新聞やごみ袋などの一次保管場所としても大いに活用している。
東京体感ハウスの階段下には椅子が置いてあり、お客様は座ってじっくりと床下の空気感を体感できる。小机を置けば、ちょっとした書斎にも利用できる。
今、注目されている瞑想の場として、あるいはご主人の「秘密基地」としてもおもしろいかもしれない。
松井祐三著・<だから『いい家』を建てる。>は、家の見方についてこう主張している。
「まず最初に床下を、次いで小屋裏を見る。実は、ふだん目にすることがない床下と小屋裏の環境は、その家の問題点と造り手の本心をあからさまに物語り、住み心地に大きな影響を与えるからだ」。
基礎も外断熱である「涼温な家」は、床下も小屋裏も室内と同様に四季快適である。梅雨時や秋の長雨の時期にも快適なのだ。階段下の利用をぜひお薦めしたい。
コラム
- 一条工務店との違い
- 健康長寿の時代の家づくり
- 「エコハウスという魔法」
- 「エコハウス」って?
- 新しい家のカタチ
- 「丁寧な仕事に敬意を払う文化」を破壊する人たち
- 純米酒と父と母
- 心の涙で泣く人間
- からだで感じ、からだで考えるならば
- 先輩の言葉
- 魔法の手
- 妻が喜ぶ家を
- 自足できる家
- ロボットが造る家
- 工務店にしか造れない家
- 91歳で建て替える
- ある精神科医の話
- 住み心地は百薬の長
- 色のある屋根
- 松井 修三 プロフィール
- 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
- 1961年中央大学法律学科卒。
- 1972年マツミハウジング株式会社創業。
- 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
- 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
- 現在マツミハウジング(株)相談役
- 著書新「いい家」が欲しい。(創英社/三省堂書店)「涼温な家」(創英社/三省堂書店)「家に何を求めるのか」(創英社/三省堂書店)